すずきの雑記集

すずきの生存確認所はココ!

仁王×柳生【腐】


私は今、久しぶりに夢を見ています。


といっても、夢の中でも私は寝ているのですが…。




周りは見慣れない家具が置いてあり、よく整頓された部屋。

今の私の部屋と似ているが、どことなく子供っぽい本やおもちゃも置いてある。



「やぎゅー」




なんとも可愛らしい小さな仁王くんが、私が寝ている布団の上にまたがり、私の顔をぺちぺちと叩いている。

現実よりも幼い仁王くんは、声は今より高く、口はちゃんと回らないようだ。




結論:すごく可愛い。




「んん…仁王くん…」

どうやら夢の私が目を覚ましたようだ。


「やぎゅー 起きんしゃい」


「おや、今日は早起きなんですね」


眼鏡をかけてから上半身だけ起こし、夢の私が言った。


「だって今日はやぎゅーと遊ぶ日じゃもん」


膝にのっている小さな仁王くんは白い歯を見せながら笑った。


現実の仁王くんより素直で可愛い。


「そうですね…今日は何をしますか?」


「その前にまずすることがあるじゃろ」


なんのことなのかわからない。

夢の私は首をかしげる。


「むぅー…もうええわ!」

小さな仁王くんは頬を膨らませてどこかへ行こうとした。


「あっ、待ってください仁王くん!」


夢の私は手を伸ばし、仁王くんの手を掴んだ。


「まだ私は…あなたの考えていること全てを理解しきれていないようです」

私は仁王くんの手を優しく握りながら、頭を下げた。


「すいません」


「…頭あげんしゃい」

仁王くんは少し顔をこちらに向けて言った。


私は頭を上げ、きいた。

「まずすることとは、何なのですか?」

小さい仁王くんは振り返ると下を向きながら小さな声で
「…おはようのちゅー…」
と言った。



………なんて可愛いんだろう!!


夢の私は小さな仁王くんの手を体ごと引っ張り、ぎゅっと抱きしめた。


「あぁ…仁王くん!!」

「やぎゅっ…くるしいぜよぉ」

そう言いながらも仁王くんはなんだか嬉しそうだった。


「大好きです。仁王くん」

「………俺も」


2人はしばらく見つめあってから、「おはようのちゅー」をした。



なんと羨ましい光景だろう。

いや、私もこんな風に自分の気持ちを伝えればいいのでは?


そうだ、そうしよう!!
そうすればきっと現実の仁王くんもあのように素直になってくれるはず!


「やぎゅー」

「はい なんですか?」

ぺちっ


小さな仁王くんは突然私に平手打ちをした。

だが相手が子供なだけに、平手打ちというよりは軽く触れる感じだった。


「そろそろ起きんしゃい。“そっち”の俺が待っとるから」


「…“そっち”?なんのことですか?」

まさか…現実の仁王くんのことですか?


小さな仁王くんはフフッと笑うと

「がんばりんしゃい」

と言った。



途端に私の視界が白い光に包まれ、いつもの朝の光景が広がった。


「…私の部屋…」

自分の声が鮮明に聞こえる。

ふと、自分の体の上に重みを感じた。


眼鏡をかけ、重みの正体に私は目を疑った。


「仁王…くん?」

重みの正体…仁王くんはまるで猫のような格好で寝ていたが、私の声にピクリと反応し、のそのそと起きあがる。


「ふあぁぁ〜…おはようさん」


低く通る声…現実の仁王くんだ。


「おはようございます…じゃなくて、なんで私の家にいるんですか!」


夢から覚めたばかりで気づかなかったが、よく考えてみたら本来仁王くんはここにいるはずがない。


「なんでって…今日は柳生と遊ぶ日じゃもん」


「…あ」

そういえば昨日、仁王くんに
「明日お前さんの家行く」

と言われていた。



「そうでしたね…で、今日はなにをするんです?」

この時私は妙な違和感を感じた。

ついさっきもこんな事があったような…


「その前にまずすることがあるじゃろ」


仁王くんがニヤニヤしながら言った。


その言葉の意味を、私はなぜか知っていた。

普段の私なら絶対に知りえないはずなのに。



私は仁王くんに軽くキスをした。



「おはようのちゅーです」

私は笑顔でそう言った。

仁王くんはしばらく呆然とした後、

「な…なんでお前さん…俺がしたかったこと…わかったん…」

声が小さくなっていき、語尾がはっきり聞こえなかった。

だんだんと耳が赤くなっていく仁王くんが愛おしく思えた。


「大好きです。仁王くん」

仁王くんは照れくさそうに、

「………俺も」

と言った。


私はありきたりな言葉に少し付け加えた。


「とても可愛いです」


ぺちっ


「…あほ」


仁王くんは私の頬を軽く叩いた。
仁王くんの手から体温の熱さを感じた。



冬だというのに、なんだか暑い。



おわり